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20か国語を話す人は”なぜ” 言語 を学ぶのか

20か国語を話す人は”なぜ” 言語 を学ぶのか

皆さんはTim Donerという人物をご存知ですか。「最年少のHyperpolyglot(複数 言語 話者)」として有名です。Hyperpolyglotとはたくさんの言語を話す人を表す言葉で、彼自身20の言語を話すことができます。

彼は13歳の時に言語を学び始め、最初にヘブライ語を勉強し、それ以降アラビア語や中国語、ペルシャ語を学び、合計で20の言語を話すようになりました。

しかし、彼が言語学習の本当の意義に気づいたのは、言語学習を始めてしばらく経ってからだったそうです。

2012年の3月、BBCやNew York Timesなどのメディアが彼を取り上げました。彼は「20か国語を話す10代の少年」として世に知られ、言語学習を広めるチャンスを手に入れることができました。

しかし、そのメディアの波はすぐに辛いものになっていきました。メディアは彼に様々な言語を喋らせようとしました。しかし、彼にとって大事だったのは自分が多くの言語を話せることをアピールすることではなく、言語学習を通じ得られるもっと本質的なものを伝えることでした。

彼が言語を学び始めたとき、「話す」、「流暢」などを重要視していました。しかし、彼はその言語を流暢に話せるようになっても、理解に苦しむことがあることに気づいたのです。彼は英語を母国語として話しますが、彼の英語は若者のスラングとマンハッタンのなまりが入っています。また、ジャマイカ人や、ルイジアナの人と話すときは彼らが英語を話しているのにも関わらずしっかりと理解することができませんでした。自分の母国語でさえ誰も完ぺきではないのです。

しかし、話せる言語の数を少なくすることは、言語が持つ素晴らしいパワーを弱めてしまうことだと彼は主張しています。言語はその国や地域の文化や歴史、考え方を示すものであり、ただの個人のスキルを高めるものではないと言っています。

言語は歴史的背景、文化的背景によって作られた複合的なものです。メディアのスポットライトを浴びている中で彼は「言語を話す」ことはたくさんのことを意味することに気づきました。言語学習は単語を覚えることやスラングを知ることを意味することもあります。しかし、彼は20の言語を完璧に話せるようには決してならないと気づいたと同時に、言語は人々をつなぎ、文化の壁を越え、愛を共有するものだと学びました。それが言語を学ぶ上で、最も価値のあることだと気付きました。

彼の伝えたかったメッセージは「誰でも言語を学ぶことはできますし、平和のために必要なのは他の文化を理解し、その視点から世界を見ることです。」です。

彼はTEDxの中でネルソン・マンデラの言葉を引用しています。

“If you talk to a man in a language he understands, that goes to his head. If you talk to him in his language, that goes to his heart.”

直訳すると「ある人に彼が理解する言葉で話すと、彼は頭でそれを理解する。しかし、もし彼に彼の言葉で話すと、彼は心でそれを理解する。」です。

ネルソン・マンデラはアパルトヘイトの中で、南アフリカ初の黒人大統領となり、複数の人種からなる民主主義を成立させました。

人を変え、動かすには相手の言葉を知り、語りかける必要があります。それは相手の言語だけでなく文化まで知った上で初めてできることです。

Timのメッセージである「誰でも言語を学ぶことはできますし、平和のために必要なのは他の文化を理解し、その視点から世界を見ることです。」も本質的には同じことを伝えているように思います。

[参照元]

https://ejje.weblio.jp/content/humanity

https://blog.mangolanguages.com/interview-with-a-polyglot-tim-doner