理解する英語から使いこなす英語へ 日本の現状を徹底分析
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英語力の重要性は、これまで以上に高まっています。英語ができることで、より幅広い情報にアクセスでき、国際的で多様なネットワークを築くことが可能になります。
さらに、英語力は国家レベルでも大きな意味を持ちます。国のイノベーションや国際競争力、そして将来の発展の方向性を読み解くうえでも欠かせない指標となっています。
一方で、自動翻訳技術の進化、そしてAIの急速な台頭により、「それでもなお、他言語、とりわけ英語を学ぶ必要はあるのか?」という疑問が生まれています。
しかし、この問いこそが、いま私たちが改めて言語学習の価値を考えるタイミングに来ていることを示しているのかもしれません。
EFエデュケーション・ファーストの2025年英語能力指数(EF EPI)では、220万人の成人から得たテストデータをまとめ、このデータを基に国別の英語能力をランキングしました。
2025年EF英語能力指数報告書の主要な発見は以下の通りです:
日本は前年に続き96位(スコア446)となり、アジア平均(477)を下回りました。マレーシア24位(581)やフィリピン28位(569)など英語教育が進む国との差は依然として大きい状況です。今年はAIが導入され、発音・即応性・文章構成など、従来測定しづらかった要素が可視化され、4技能のバランスがより精確に分析されました。
EF EPI分析チーム責任者ケイト・ベルは、「日本では読む・聞くに比べ、話す・書くが伸びにくい傾向があり、AI評価によりその差が明確になった。4技能のバランス改善が鍵」と述べています。
地域別では、関東(478)が最も高く、中国地方(436)が最も低い結果となり、都市部と地方の英語力差が浮き彫りになりました。首都圏ではビジネスや留学ニーズが高まる一方、地域によって学習機会や必要性にばらつきがあります。
さらに、18〜25歳の若年層が全世代で最も低スコアという点も特徴的です。英語に触れる機会が多いはずの世代ですが、
字幕やテキスト中心の“受け身の英語”に偏りがち
自分の言葉で話す・書く経験が比較的少ない
といった背景が指摘されています。EF EPI分析チームでは、AI時代に特有の英語との向き合い方として、今後も継続的な検証が必要としています。
一方、2025年版ではオランダ、クロアチア、オーストリア、ドイツが上位を占め、ヨーロッパ諸国が引き続き高い英語運用力を示しました。CLIL教育や口頭試験・即時ディスカッションといった実演型評価、そして教師研修の充実が成果につながっています。
AIによるスピーキング・ライティング評価の導入により、世界の半数以上の国で「スピーキングが最も弱いスキル」であることも初めて明らかになりました。読解・聴解中心の学習だけでは限界があることを示す結果です。
EFでは毎年、国連開発計画(UNDP)の「人間開発指数」やINSEADの「世界人材競争力指数」などとの相関分析を実施しており、教育・所得・生産性・イノベーションと英語力が密接に関連していることが確認されています。
日本でも今後、AIを取り入れた発音・作文評価や、ビジネス現場での英語実務の標準化を通じ、「理解する英語」から「使いこなす英語」への転換が期待されています。
各国の詳細なランキングや、英語力と経済・イノベーション・国際的なつながりとの関係についての分析は、こちらをご覧ください。
