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EFユース・リーダーシップ・フォーラム、日本代表学生の早川さくらさん

EFチャレンジ2019最優秀賞に輝いた、高校生の早川さくらさん。2019年8月には、ニューヨークで開かれた国際学生フォーラム「EFユース・リーダーシップ・フォーラム」に日本代表学生として参加しました。
EFユース・リーダーシップ・フォーラム、日本代表学生の早川さくらさん

8月18日から24日までの間、EFニューヨーク校(米国ニューヨーク州)で開催された国際学生フォーラム「EFユース・リーダーシップ・フォーラム」に日本代表学生として参加させて頂きました。

このフォーラムでは世界各国で開かれたスピーチコンテストEFチャレンジで代表となった、ベトナム、日本、エクアドル、ベネズエラ、コロンビア、メキシコ、チリ、フランス領ギアナ、ポルトガル、ブラジル、フランス、スペイン、ポーランド、という普段ニュース等で見るだけの世界の国々から来た学生と、ニューヨークで国境の枠を超えて一堂に会しました。

各国の代表は、本当に個性的でしっかりとした考えを持った学生ばかりでした。

私はフォーラム開催前夜に到着しましたが、ルームメイトのコロンビア代表が到着せず不安な気持ちで一晩すごしました。けれども一日目の朝食に行くと、ベトナム、エクアドル、ベネズエラの代表の子たちが到着していて初対面でハグをされたり、みんなフレンドリーに話しかけてくれたりしてすごく安心しました。

フォーラムの期間中には一緒にピザを食べながらボーリングを楽しんだり、Metsスタジアムでの野球観戦、国連本部訪問、そして5日目はニューヨーク観光と様々なリクリエーションや観光のプログラムがありました。

ニューヨーク観光では自由の女神、1 ワールドトレードセンター、トップ・オブ・ザ・ロック展望台、ウォール街に行きました。タイムズスクエア付近では一緒にいた3人で迷子になったり、みんなで集合した後、突然大雨が降り出して道路が浸水したりと予想外のできごともありました。

移動中のタクシーの中ではカラオケをしてみんなで歌ったり、ゲームをしたり、お互いの学校生活や興味を持っていることなどについて話したりしました。

自由時間にはバレーボールをしたり、テーブルサッカーをやって盛り上がったり、真っ暗な中でフリスビーをやったり、星を眺めながら自国の言葉を教えあったりもしました。

このような様々な楽しいプログラムのおかげでメンバー全員が打ち解けることができました。

国連本部への訪問では、第二次世界大戦の後に平和に捧げられた国際組織として生まれた国連の歴史、世界の国々における軍事費の拡大、そして全世界を何度も消し去ることができる大量破壊兵器について学びました。

国連による多国間主義は戦後75年間、経済的および社会的進歩を拡大し、世界中の人権を支持してきました。 しかし、近年、世界はナショナリズムと一国主義の潮流により分極化し、経済、文化、政治などの社会のあらゆる面で分裂を深め、国際協調とルールに基づく秩序を弱めています。 現在の世界では、国家内および国家間の信頼は低下し、脆弱な国家、領土紛争、宗教紛争、民族紛争などの武力行使につながる可能性のある問題が存在し、核兵器が壊滅的な結果で使用されるという脅威が増えています。

私達は何度も繰り返されてきた歴史から学ぶ必要があります。

フォーラムでは国境問題や食料問題、移民の問題など様々な国際問題について討論しましたが、議論が尽きず、同年代の子達が政治に強い興味と意見を持っていたことが印象に残りました。計画されたイベントが11時頃に終わってからは毎晩ラウンジに集まって語り合いました。

ベネズエラでは権威主義を強めるニコラス・マデューロ政権の下で人々は抑圧されています。メディアも政府によって管理されています。プロパガンダを通じて政府を支援するよう洗脳されてしまうと人々は何も変えることができません。無知と無関心は民主主義にとって最大の脅威なのです。ベネズエラの石油ベースの経済は、石油価格の変動に対して脆弱で、政府の広範な腐敗不正と不適切な経済政策により壊滅状態となっています。基本的物資は大幅に不足し、ごく一部の政府とつながりのある人々に富が集中し、多くの人々は貧困と飢えに苦しみ、人道危機が続いています。何百万人ものベネズエラ人が国外へ逃げており、大半はコロンビアやエクアドルなどの周辺国に流れています。

ベネズエラからの難民が来たコロンビアとエクアドルでは、ベネズエラ人は適切な身分証明や資格もなく、強制送還を恐れているため、少ない賃金で長時間働いています。そのため多くの人々がベネズエラ人に仕事を奪われていると感じ、ベネゼエラからの難民との間で緊張が高まり差別につながっています。

ポーランドは第2次世界大戦中にナチスドイツによる侵攻を受け、その後も1989年に民主化するまでソ連の支配下に置かれました。そのため、2014年のロシアによるウクライナ軍事介入とクリミア半島併合の後、ロシアによる侵攻を恐れる人が増加しました。EU内での経済格差や難民の受け入れへの不満によるナショナリズムの高まりにより、右派政党「法と正義」が最大の政党となっています。人口の約90%がカトリック教徒であるポーランドでは、この極右に対する支持は、外国人嫌悪や少数民族に対する差別と敵意につながっていて、イスラム教徒やユダヤ人が差別に直面しています。そのため、ヨーロッパでの難民危機の際にも難民を受け入れませんでした。

このフォーラムに参加する前、私にとってEUにおける極右の台頭、南米の難民危機はニュースで見たり、読んだりするだけの問題でした。けれどもこれらの問題の中で実際に日々生活している仲間達と過ごし話を聞くことで私の理解が深まり、そのような問題は世界のどこか遠い所で起きている問題ではなく、もっと身近な問題として考えられるようになりました。

共に過ごした6日間の最終日には、全く制度の異なる世界中の国々の代表が集まったこのフォーラムのメンバー全員が家族のように一つになり何でも話せる仲間になっていて泣きながら別れを惜しみました。そして国境を越えてそれぞれの国に戻りました。

けれども私達は今でもSNSを通じてつながっています。現代のグローバリゼーションの世界では、海を越えて起こっている問題はそれほど遠くのできごとではありません。私達の会話を隔てる物は何もなく、私にとって極右の台頭するEUも、人道危機にある南米も考えなければならない問題なのです。そしてこれまで以上に強く、30条の世界人権宣言の全ての基本的人権を守る必要があると思うようになりました。

私達が訪れた自由の女神像は、多くの移民が見たアメリカの最初の光景でした。この自由の象徴と、彫像に刻まれた”Give me your tired, your poor, Your huddled masses yearning to breathe free” という詩を読んだときに、どうすれば国は移民や難民を歓迎できるだろうか?という一つの疑問が思い浮かびました。

私達はディスカッションの1つで、「難民の家族をあなたの家に迎え入れることができるか」について話しました。日本では毎年少数の難民しか受け入れていないというのが現状です。けれども日本も人口の減少により外国人労働者に門戸を開いています。これからは別の国の同級生、または同僚がいることは、それほど珍しいことではなくなってくると思います。外国人嫌いと他者に対する差別は避けなければいけません。

日本では当たり前の民主主義、自由、権利を守っていくためには、政治への無関心が最大の脅威です。日本独自の文化を保存すると同時に社会の統合を成功させなければなりません。そのためには、日本のように均質な社会で寛容と包摂性を育むために、どのような教育をすべきか考えなければなりません。

今世界で起きている様々な問題をずっと身近なものとして感じ、考えることができた、このフォーラムを振り返ってみると、答えよりもこれから解決していくべき沢山の課題に気づきました。これらの課題について考えていくことは非常に大切で、その答えは今日私達が直面している課題の解決策を明らかにしてくれるかもしれないと信じています。

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